「毎日の日報リマインド、Slackに手入力で投稿している…」「Webサイトがちゃんと動いているか、定期的に手動で確認するのが面倒…」
このような定型業務に、貴重な時間を奪われていませんか?
もし、あなたがAIチャットボット開発プラットフォーム「Dify」を使い始めているなら、その悩みは「cron(クロン)機能」で解決できるかもしれません。cronとは、指定した時間に特定の処理を自動で実行してくれる、いわば「超高性能な目覚まし時計」のような機能です。
この記事では、Difyのcronプラグインについて、非エンジニアの方でも迷わず設定できるよう、豊富なスクリーンショットと具体的な手順で徹底的に解説します。「cronって何?」「設定が難しそう」と感じている方でも、読み終える頃には自社の業務を自動化する具体的なイメージが湧いているはずです。
面倒なタスクはDifyに任せて、あなたにしかできないクリエイティブな仕事に集中しましょう!

Tom(@0x__tom)
代表取締役 CEO
Dify を活用した企業の DX 支援や AI エージェント事業などに取り組む株式会社MYUUUという生成AIスタートアップの代表。生成AIユーザーが1,400名所属し、Difyの最新ユースケースを学び合うコミュニティ「FRACTAL LAB」を運営しています。
Difyのcron(定期実行)機能とは?
まずは、Difyの自動化を実現する「cron(定期実行)」機能の基本について理解を深めましょう。この機能を使いこなせば、あなたの業務効率は飛躍的に向上します。
そもそもcron(クロン)とは?
cron(クロン)とは、主にサーバー(UNIX/Linux系OS)で古くから使われている、特定のコマンドやプログラムをあらかじめ指定したスケジュールで定期的に実行するための仕組みです。例えば、「毎日朝9時に特定のプログラムを動かす」「毎週月曜日の深夜3時にデータのバックアップを取る」といったタスクを自動化するために利用されます。
このcronの考え方をDifyに応用したのが、今回ご紹介する「cronプラグイン」です。専門的なサーバー知識がなくても、Difyの画面上で直感的に定期実行タスクを設定できるのが大きな魅力です。
Difyのcronプラグインでできること
Difyのcronプラグインをワークフローに組み込むことで、人間が操作しなくても、指定した日時にワークフローを自動で開始させることができます。これにより、以下のような様々な業務の自動化が可能になります。
- 定時リマインド: SlackやDiscordに「日報を提出してください」といったメッセージを定時投稿する。
- 定期的な情報収集: 特定のキーワードに関するニュースを毎朝収集し、要約してメールで送信する。
- Webサイトの死活監視: 自社サイトが正常に表示されるかを1時間ごとにチェックし、問題があれば通知する。
- 簡単なデータ集計: API経由で取得したデータを定期的に処理し、レポートを作成する。
このように、これまで手作業で行っていた繰り返し業務をDifyに任せることで、業務の抜け漏れを防ぎ、生産性を大幅に向上させることが可能です。
セルフホスト版Difyでのみ利用可能
ここで一つ重要な注意点があります。Difyのcronプラグインは、自分でサーバーを用意してDifyをインストールする「セルフホスト版」でのみ利用可能な機能です。手軽に始められる公式の「Dify Cloud版」では、残念ながら直接cronプラグインを使うことはできません。
しかし、Cloud版をお使いの方もご安心ください。記事の後半で、ZapierやMakeといった外部の自動化ツールと連携して、Cloud版でも同様の定期実行を実現する方法を解説します。まずはcron機能の全体像を掴むために、ぜひこのまま読み進めてください。

cronは「時間を決めて、あとは勝手にやっておいて!」ってAIにお願いする機能。セルフホスト版限定だけど、Cloud版でも似たことができるから安心してね。
【5ステップで完了】Dify cronプラグインの設定手順
ここからは、実際にDifyでcronプラグインを設定する手順を5つのステップに分けて解説します。一つひとつの操作を丁寧に進めれば、誰でも簡単に設定できます。
ステップ1:Difyのワークフローを作成する
まず、Difyにログインし、定期実行したいタスクの器となる「ワークフロー」を作成します。
画面左側のメニューから「スタジオ」を選択し、「ワークフローを作成」ボタンをクリックします。今回は、一から作成するため「空白から作成」を選びましょう。ワークフローの名前(例:定時リマインドBOT)と説明を入力したら、右下の「作成」ボタンを押してください。これで、自動化のキャンバスが用意できました。
ステップ2:「cron(定期実行)」ツールを追加する
ワークフローの編集画面が開いたら、左上の「ツールを追加」をクリックします。検索ボックスに「cron」と入力すると、「cron(定期実行)」というツールが表示されるので、選択してワークフローに追加します。
このツールが、ワークフロー全体の開始点(トリガー)となります。このツールを設置することで、時間になったら自動で処理を開始するというおまじないをかけたことになります。
ステップ3:cron式で実行スケジュールを設定する
追加したcronツールをクリックすると、設定画面が表示されます。ここで最も重要なのが「cron式」の入力です。cron式とは、「いつ実行するか」を定義するための特別な記法です。
例えば、「平日の毎朝10時」に実行したい場合は、`0 10 1-5`のように入力します。このcron式の詳しい書き方については、次の章で詳しく解説するので、現時点では「スケジュールを設定する場所なんだな」と理解しておけば大丈夫です。まずはテストとして、5分後に実行されるような簡単な設定をしてみましょう。
ステップ4:自動化したいタスク(例:LLM)を接続する
スケジュールを設定したら、次に「何をするか」という具体的な処理を追加します。今回は例として、LLM(大規模言語モデル)を使って特定のメッセージを生成するタスクを設定してみましょう。
再び「ツールを追加」から「LLM」を選択し、ワークフローに追加します。そして、「cron(定期実行)」ツールの右側にある丸印(●)から、LLMの左側にある丸印(●)へとドラッグして線を繋ぎます。これにより、「cronで指定した時間になったら、LLMを実行する」という一連の流れが完成しました。LLMのプロンプトには、Slackに投稿したいメッセージ(例:「皆さん、本日の日報提出をお願いします!」)などを入力しておきましょう。
ステップ5:ワークフローを公開してAPIキーを取得する
最後に、作成したワークフローを外部から実行できるように「公開」します。
画面右上の「公開」ボタンをクリックしてください。すると、APIのエンドポイントURLやAPIキーが表示されます。この情報が、後ほど実際にcronジョブをサーバーに登録する際に必要となります。特にAPIキーは他人に知られると悪用される危険があるため、厳重に管理してください。メモ帳などに一時的にコピーしておきましょう。
以上の設定をサーバー側で有効化すれば、指定した時間にワークフローが自動で実行されるようになります。



見てみて、たったこれだけ!「いつ(cron)」→「何を(LLM)」→「どうする(公開)」って繋げるだけなんだ。簡単でしょ?
Dify cron式の書き方と便利なツール
Difyのcron設定で多くの人がつまずくのが「cron式」の書き方です。ここでは、その基本構造と便利なツールを紹介します。一度覚えてしまえば、様々なスケジュールを自由に組めるようになります。
cron式の基本構造(分 時 日 月 曜日)
cron式は、5つ(または6つ)の半角スペースで区切られたフィールドで構成され、それぞれが特定の時間を表しています。左から順番に以下の意味を持ちます。
フィールド | 意味 | 設定可能な値 |
---|---|---|
分 (minute) | どの「分」に実行するか | 0 ~ 59 |
時 (hour) | どの「時」に実行するか | 0 ~ 23 |
日 (day of month) | どの「日」に実行するか | 1 ~ 31 |
月 (month) | どの「月」に実行するか | 1 ~ 12 または JAN ~ DEC |
曜日 (day of week) | どの「曜日」に実行するか | 0 ~ 7 (0と7が日曜日)または SUN ~ SAT |
これらのフィールドには、特定の数値の他に、アスタリスク(“)やハイフン(`-`)などの特殊文字を使うことで、より柔軟なスケジュール設定が可能です。例えば、“は「毎(分・時・日…)」を意味し、`1-5`は「1から5まで」の範囲を指定します。
具体的なcron式の設定例
言葉だけでは分かりにくいので、具体的な設定例をいくつか見てみましょう。これらのパターンを覚えれば、ほとんどの業務要件に対応できるはずです。
実行したいスケジュール | cron式 | 解説 |
---|---|---|
毎日午前9時0分 | 0 9 * * * | 毎日 9:00 に実行 |
毎週月曜日の午後1時30分 | 30 13 * * 1 | 毎週 月曜(1) の 13:30 に実行 |
平日の毎時0分(9時~17時) | 0 9-17 * * 1-5 | 月〜金の 9:00〜17:00 で毎時0分に実行 |
毎月1日の午前0時0分 | 0 0 1 * * | 毎月1日の 0:00 に実行 |
5分ごと | */5 * * * * | 常に5分間隔で実行 |
最初は複雑に感じるかもしれませんが、基本の5つのフィールドの意味さえ押さえれば、あとは組み合わせ次第です。
初心者におすすめ!cron式ジェネレーター
「それでもcron式を自分で書くのは不安…」という方には、オンラインのcron式ジェネレーターの利用を強くおすすめします。
代表的なツールに「[crontab guru](https://crontab.guru/)」があります。このサイトでは、「every day at 10am」のように自然な英語でスケジュールを入力したり、GUIで直感的に設定したりするだけで、対応するcron式を自動で生成してくれます。生成されたcron式が具体的にいつ実行されるのかも分かりやすく表示してくれるため、設定ミスを防ぐのに非常に役立ちます。



cron式、まるで暗号だよね。でも大丈夫、「crontab.guru」みたいな秘密道具を使えば、日本語でお願いするだけで暗号を解読してくれるんだ!
コピペで使える!Dify cronを活用した業務自動化アイデア3選
理論がわかったところで、次は実践です。ここでは、ペルソナであるWebマーケティング担当の佐藤さんが明日からでも試せる、具体的な業務自動化のアイデアを3つご紹介します。
事例1:Slackへ定型業務のリマインドを自動通知する
チームの日報や週報の提出を促すリマインドは、忘れると業務に支障が出ますが、毎日手作業で送るのは面倒な作業の代表格です。これをDify cronで自動化しましょう。
ワークフローは「cron」→「LLM」→「HTTPリクエスト」の順で繋ぎます。cron式には平日の業後(例:`0 18 1-5`)を設定。LLMのプロンプトには「本日の日報提出をお願いします。お疲れ様でした!」といったメッセージを記述します。そして、HTTPリクエストツールを使ってSlackのIncoming Webhook URLにPOSTリクエストを送る設定をすれば完成です。これで、毎日定時にSlackの特定チャンネルへ自動でリマインドが投稿されるようになります。
事例2:指定したWebサイトの更新を定期的にチェックする
競合他社のWebサイトや、参考にするメディアの更新情報を手動で巡回するのは非効率です。Difyを使えば、サイトの更新を検知して通知する仕組みを構築できます。
ワークフローは「cron」→「HTTPリクエスト(サイト取得)」→「LLM(差分比較・要約)」→「Slack通知」という構成です。cronで定期的に(例:`0 `で1時間ごと)HTTPリクエストツールで対象サイトのHTMLを取得します。その後、前回取得した内容と差分があるかをLLMで比較させ、もし更新があればその内容を要約してSlackに通知します。これにより、情報収集の効率が劇的に向上し、重要な変化を見逃すことがなくなります。
事例3:関心のあるニュースを定時に収集し要約する
自社業界の最新ニュースや特定のキーワードに関する情報を、毎朝まとめてチェックしたいというニーズは多いでしょう。この情報収集と要約作業もDifyで自動化できます。
例えば、Google NewsのRSSフィードやニュースAPIを利用します。「cron」で毎朝(例:`0 8 `)ワークフローを開始し、「HTTPリクエスト」でニュースAPIを叩いて関連情報を取得。取得した複数のニュース記事の本文や概要をLLMに入力し、「今日のAI業界の主要ニュースを3行で要約して」といったプロンプトで処理させます。最後に、要約された結果を自分のメールアドレスやSlackのDMに送るように設定すれば、通勤時間中に効率よく情報をインプットできます。



リマインド、サイトの巡回、ニュース集め…。君が「面倒だな」って思うことは、大体Difyが代わりにやってくれるよ。どんなことを自動化したいか、想像してみて!
よくある質問と注意点
Difyのcron機能を使いこなす上で、多くの人が抱く疑問や知っておくべき注意点をまとめました。安心して運用するために、ぜひご確認ください。
Dify Cloud版で定期実行するには?
前述の通り、cronプラグインはセルフホスト版限定の機能です。しかし、Dify Cloud版でも同様のことは実現可能です。その場合は、ZapierやMake(旧Integromat)といった外部のiPaaS(自動化連携ツール)を利用します。
これらのツールには「スケジュール」というトリガー機能があり、cronと同じように「毎日9時」や「1時間ごと」といった設定ができます。このトリガーを起点に、DifyのAPIを呼び出すアクションを組み合わせるのです。具体的には、Difyで作成したワークフローのAPIエンドポイントURLとAPIキーをZapierやMakeに設定することで、指定した時間にCloud版Difyのワークフローを起動させることができます。
cronがうまく動かない時のチェックポイント
設定したはずのcronが期待通りに動作しない場合、以下の点を確認してみてください。
- cron式の記述ミス: 最も多い原因の一つです。`crontab.guru`などのツールを使って、式が正しいか再確認しましょう。
- APIキーやURLの間違い: Difyの公開画面からコピーしたAPIキーやエンドポイントURLが、サーバー側の設定ファイルに正しくペーストされているか確認します。余計な空白が入っていないかも要注意です。
- サーバーのタイムゾーン設定: cronはサーバーのシステム時刻に基づいて動作します。サーバーのタイムゾーンが日本時間(JST)になっていない場合、意図した時間とずれて実行される可能性があります。
- ワークフロー内のエラー: Difyのログを確認し、ワークフロー自体がエラーを起こしていないかチェックします。例えば、外部APIの呼び出しに失敗しているケースなどがあります。
セキュリティ上の注意点:APIキーの管理方法
Difyのワークフローを公開すると生成されるAPIキーは、そのワークフローを実行するための「合言葉」です。これが第三者に漏洩すると、不正にワークフローを実行されたり、情報が抜き取られたりする可能性があります。
APIキーは、パスワードと同様に厳重に管理してください。ソースコード内に直接書き込むのではなく、サーバーの環境変数として設定するのが最も安全な方法です。また、万が一漏洩してしまった場合に備え、Difyの画面からAPIキーを再生成(無効化して新しいものを発行)する手順も確認しておきましょう。企業の機密情報などを扱うワークフローの場合は、特に慎重な取り扱いが求められます。



APIキーは、君のアプリの「秘密の呪文」。絶対に他の人には教えちゃダメだよ!もしもの時のために、再発行の仕方も覚えておこうね。
まとめ
本記事では、Difyのcronプラグインを活用して定型業務を自動化する方法について、その基本から具体的な設定手順、実践的な活用アイデアまでを網羅的に解説しました。
重要なポイントは、Difyのcron機能は非エンジニアでも手順通りに進めれば十分に設定可能であるということです。最初は難しく感じるcron式も、便利なジェネレーターツールを使えば誰でも簡単に作成できます。「Slackへのリマインド」や「Webサイトの更新チェック」など、身近な業務から自動化を試すことで、その効果をすぐに実感できるはずです。
この記事を参考に、まずは何か一つ、あなたの面倒な手作業をDifyに任せてみてください。そこで生まれた時間こそが、より創造的で価値の高い仕事へと繋がる第一歩となるでしょう。