Difyのイテレーション機能とは?初心者向けに簡単解説

「イテレーション機能」は複数データに対する同じ作業を自動化する強力な機能です。

本記事では、この機能の概要、メリット、5ステップの操作方法、実務活用例を紹介します。」

目次

1. Difyのイテレーション機能とは?(概念を初心者向けに解説)

イテレーションとは「繰り返し処理」のブロック

Difyには、イテレーションと呼ばれる「同じ処理を何度も繰り返す」ためのブロックがあります。

このイテレーションブロックは、配列(Array) を入力として受け取り、配列内のデータ(要素)をひとつずつ取り出しては、同じステップを連続的に実行してくれます。

「配列(Array)」が重要な理由

イテレーションブロックを使う上で鍵になるのが、配列(Array) というデータ形式です。

  • 配列は、データを「順番通り」にひとまとめにしたもの
  • たとえば、fruits という配列に [“apple”, “orange”, …] のように複数のURLを格納できる
  • 個々のURLは fruits[0], fruits[1] … のようにインデックス番号で取り出せる

Difyのイテレーションブロックは、このようにまとめられた複数のデータを 1つずつ取り出しながら繰り返し処理 する仕組みです。

イテレーションブロックの具体的なイメージ

  1. 入力: 配列(例:フルーツのリスト)
  2. 繰り返し処理: 配列の要素を一つ取り出す → 指定した処理を実行 → 次の要素を取り出す → … を要素が尽きるまで続ける
  3. 出力: 各繰り返し結果を配列としてまとめて返す

処理の結果はまとめて出力配列となるため、後からコードブロックやテンプレートブロックを使って、個別の結果を抽出して利用することができます。

ノーコードで「ループ処理」ができるメリット

プログラミングの世界では「for文」や「while文」のようなループ処理がよく使われますが、Difyではこれをノードをつなぐだけで実装できます。非エンジニアの方や、コードを書かないワークフローでも繰り返し処理がスムーズに組み込めるのが、大きな特徴です。

Tom

Difyのイテレーション機能を使えば、複雑な作業も簡単に自動化できますよ!

2. Difyイテレーションの特徴3選

・手間いらずで効率UP

イテレーション機能を活用すれば、定型レポート作成やデータ集計を自動化できます。一度設定すればボタン一つで処理完了

・ミスを削減&一貫した結果

AIが同じ基準で処理するから、作業ミスやバラつきを防げる!アンケートチェックも正確&スムーズ。

・ノーコードで簡単操作

コード不要!画面操作だけで設定完了。初心者でもクリック数回で大量処理でき、作業スピードがUP

Tom

Difyのイテレーション機能で作業効率が大幅アップできて、しかも簡単に使えて、ミスも減らせますよ!

3. Difyイテレーションの使い方5STEP(手順をスクリーンショット付きで解説)

それでは、実際にDifyのイテレーション機能を使う方法を、5つのステップに分けてお伝えします。ここでは画面のイメージがある想定で進めますので、実際の画面を見ながら読むとわかりやすいでしょう。

Step 1. Difyにログインしてワークフロー画面を開く

Difyを使い始めるには、まずサインアップまたはログインを行い、新しいアプリ(作業用のプロジェクト)を作成します。すると、ワークフローを設計するための編集画面が開きます。

この画面では、ワークフローの処理を視覚的に設計できます。スクリーンショットのワークフローには、以下のノードが含まれています。

  • 「開始」ノード:Netflix、YouTube、Spotifyの入力を受け取る(必須項目)。
  • 「コード」ノード:処理を実行し、result(文字列の配列)を出力。
  • 「イテレーション」ノード:コードノードのresultをループ処理し、各項目をGPT-4o-mini(LLM)に送る。
  • 「テンプレート」ノード:LLMの出力を整形。

右側のパネルでは、「イテレーション」ノードの設定が表示されています。このノードは、resultの各要素を順番に処理し、出力変数textに格納します。パラレルモードやエラー処理の設定も可能で、ワークフローの実行方法をカスタマイズできます。

Difyでは、このようにノードを組み合わせることで、AIを活用した自動処理を設計できます。初めて使う場合は、基本的なノードの役割を理解しながら進めるとスムーズです。

Step 2. コードとテンプレートのノードを使用して複数回の処理を行う

Difyの「イテレーション」ノードは、配列データの各要素に対して同じ処理を繰り返す際に便利です。しかし、単独では具体的な処理を定義できないため、「コード」ノードや「テンプレート」ノードと組み合わせて使用します。

  • コードノード:PythonやNode.jsでカスタムロジックを記述し、各要素に特定の処理を適用します。
def main(arg1: int, arg2: int, arg3: int) -> dict:

   result = [arg1, arg2, arg3]

   return {

       "result": result,

   }

⚠️ 出力変数は Array[String] にするのを忘れずに!

イテレーションノードは、入力変数の型が Array[String] である必要があります。

そのため、処理結果をリストのまま返すのではなく、str() で文字列型に変換 してください。

  • テンプレートノード:Jinja2テンプレートを用いて、各要素を特定のフォーマットで整形します。
{% for item in arg1 %}

結果{{ loop.index }}:{{ item }}

{% endfor %}

これらを組み合わせることで、イテレーションノード内で柔軟なデータ処理が可能となります。

Step 3. イテレーションノードを使用して複数回の処理を行う

イテレーションノードの設定について

ここでは、入力変数と出力変数の設定について詳しく説明します。

まず、入力変数のタイプは Array[String] であり、イテレーションノードに渡すデータは文字列の配列(リスト)である必要があります。この配列は、前のノード(例えば「コード」ノード)から渡される結果となります。イテレーションノードは、渡された配列の各要素を順番に処理する役割を持っています。

次に、出力変数として text String が設定されています。これは、イテレーションノードが処理を行った結果を1つの文字列として返すことを意味します。イテレーションノードは、入力された配列の各要素を処理し、それぞれの結果を個別の文字列として出力します。そして、この出力は、その後のノード(テンプレートノード)で使用されることになります。

このように、イテレーションノードは配列の各要素に対して処理を実行し、得られた結果を順番に処理して次のノードへ渡す仕組みになっています。

LLMノードの設定について

このLLMノードは、イテレーションノードの出力を受け取り、その内容を1つだけ出力する 設定になっています。

Step 4. 開始ノードでおすすめを尋ね、3回処理を実行する

ワークフローの開始時に YouTube、Netflix、Spotifyのおすすめをユーザーに尋ね、それを3回処理する 仕組みを作ります。

改めて流れを整理すると、以下のようになります。

4−1. 開始ノードでユーザーに3つの質問を表示

  • 「Netflixのおすすめは?」
  • 「YouTubeのおすすめは?」
  • 「Spotifyのおすすめは?」これらの質問に対して、ユーザーが入力を行います。

4−2. コードノードで3回処理を実行

  • 受け取った情報を元に、コードノードで3回の繰り返し処理を実行。

4−3. イテレーションノードでリストの各要素を処理

  • コードノードの出力(おすすめリスト)を イテレーションノード に渡し、リストの各要素を個別に処理。

4−4. LLMノードで1つずつ回答を生成

  • イテレーションノードの各要素をLLMノードに渡し、1つずつ回答を生成。

Step 5. 出力結果の確認

ワークフローの最終的な出力結果を確認し、適切なフォーマットで表示する処理を行います。

  1. LLMノードの出力を取得
    • Step 4 までの処理を経て、Netflix・YouTube・Spotifyのおすすめが1つずつ生成される。
  2. テンプレートノードでフォーマットを適用
    • LLMノードの出力を整理し、見やすい形に整形。
  3. 最終出力の確認
    • ユーザーにわかりやすい形で、おすすめの内容を表示。

🔹 期待される出力結果

結果1: 「ストレンジャー・シングス」はおすすめです。80年代の雰囲気とスリリングなストーリーが魅力的です。

結果2: 「TED Talks」チャンネルをおすすめします。さまざまな分野の専門家によるインスピレーショナルなトークが楽しめます。

結果3: 「Blinding Lights」 by The Weekndをおすすめします。アップテンポでキャッチーなメロディが特徴の曲です。

Tom

Difyのイテレーション機能を使えば、複雑なワークフローも簡単に構築できます。5つのステップを試しながら、効率的な自動処理を実践してみましょう!

4. Difyを使った実践例(実際の業務での具体的ユースケース)

ここからは、Difyのイテレーション機能が実務でどう役に立つか、現場で考えやすい例をご紹介します。初心者の方にも想像しやすいよう、よくある場面を取り上げました。

● FAQ自動生成でカスタマーサポートを効率化

たとえば、あなたの会社でよくある質問をまとめた「Q&Aリスト」があるとします。通常は手作業で回答を作成しますが、Difyのイテレーション機能を使えば、質問リストを準備するだけでAIが自動的に回答を生成してくれます。

手作業なら数時間かかる作業も数分で完了します。回答はそのまま利用できるだけでなく、修正も可能です。これにより、サポート担当者の負担が軽減され、返信速度が向上します。問い合わせの多い企業ほど、大きな効果を得られます。

● その他の活用アイデア

FAQ生成以外でも、Difyのイテレーション機能はさまざまなシチュエーションで活用できます。以下のようなシナリオで特に役立ちます。

  • 顧客データの一括分析: 顧客リストを取り込み、買い物記録やアンケート回答をAIが個別に分析。営業プランや宣伝戦略に必要な情報を短時間で集めることができます。
  • 教育プランの自動カスタマイズ: 受講者ごとのテスト結果リストから、理解度に合わせた次の学習方法をAIがまとめて提案する。個々に応じた勉強計画の作成がスムーズにできます。
  • 大量メールの自動仕分け: 受信箱に山積みになったメールタイトルを並べて、AIに優先度や分類を付けてもらう。手動で振り分ける手間を一気に削減できます。

このように、「同じ手順を多くの項目に適用したい」のであれば、どんな作業でもイテレーション機能が頼りになります。初心者の方でも少し工夫すればいろいろと応用できるので、「これ、自動化できるかも?」と思ったらDifyで試してみてください。

Tom

Difyのイテレーション機能を使えば、日々の繰り返し作業が大幅に効率化できます!

まとめ

Difyのイテレーション機能は、初心者でもすぐ扱える手軽さを持ちつつ、くり返しの作業を自動化してくれる頼れる存在です。記事の最初でも触れたように、初めは「本当にうまく動くのか?」と半信半疑かもしれませんが、実際に試すと、その簡単さと結果の確かさに驚くはずです。ぜひDifyを活用して、毎日の業務効率アップに役立ててみてください。きっと、「もう以前の手動作業には戻れない!」と感じることでしょう。

この記事が、みなさんのDify利用への第一歩になれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

Difyイテレーションについて書かれたDify公式サイトはこちら

https://docs.dify.ai/ja-jp/guides/workflow/node/iteration

このコンテンツの投稿者

学生時代は生成AIによるアノテーションの研究を行っていた。現在は、AI戦略室でAI関連の開発や事業への活用を担当。 オウンドメディアの担当者を経て、現在はAIエンジニア。

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